「しあわせな王子」 ~愛こそ美しい~

「しあわせな王子」

 ~愛こそ美しい~


私の親には6人の孫がいる。

実家には、その孫たちが泊まりに来たときのためにと絵本を揃えている。

今では小学6年になっている姪っ子も、もうすぐ8歳の息子も、2,3歳のときにその数ある絵本の中でお気に入りの物語があった。

「しあわせな王子」。

息子は今も時々、破れてツギハギだらけのこの本を読んでほしいとリクエストしてくる。

こんな物語があるのを私は知らなかった。

とても、慈愛に溢れた物語。

【内容】

『北の国のある町に、体じゅう金で覆われた王子さまの像があった。

目には青いサファイア、剣には赤いルビーが輝いていた。

この町の人は、立派な像があることを誇りに思い「しあわせな王子」とよんでいた。

秋の終わりに、暖かい南の国へ行く途中の、一羽の燕が王子さまのところにやってきた。

燕が一休みしていると、ぽつりぽつり・・。

それは雨ではなく、王子さまの涙だった。

燕は聞いた、「なぜ泣いているの」。

王子さまは答えた、「この町には貧しくてお腹をすかせているひとたちがたくさんいるんだ。こまっているひとたちを見ると、涙がでてきてしまうんだ」。

王子さまは燕に言った。「あの家をみてごらん。子どもが病気だというのに薬を買うお金もないんだ」。燕が見ると、お母さんが心配そうに泣きながら男の子の看病をしていた。

王子さまは燕にお願いをした、「私の剣からルビーをとり、あのお母さんに届けてくれないか」。

王子さまの優しい気持ちに燕は心を打たれ、疲れて眠っているそのお母さんのそばにそっとルビーを置いた。目が覚めたらどんなにこのお母さんは驚くだろう・・そう思うと燕の体はあたたかくなってきた。

次の日燕は王子さまに言った、「ぼくは南の国に行かなければなりません、どうかお元気で」。燕は寒いところでは生きていけないので、暖かい国に旅立たねければならない。

ところが王子さまは言った、「燕さんもう一度だけ頼みをきいてくれないか。むこうの屋根裏部屋のわかものは、なん日もなにも食べずに子どもに夢を与えるお話をかいている。私の目のサファイアを届けてくれないか」。燕はびっくりして反対したが、王子さまの気持ちは変わらなかった。

次の日燕は言った、「今日こそ南の国へ旅立ちます、さようなら」。王子さまは言った、「最後にもう一度頼みをきいてくれないか」。燕は「とんでもない、これ以上ここにいたらぼくは寒さで死んでしまいます」。王子さまは悲しそうに続けた、「あのマッチ売りの女の子をみてごらん。水たまりにマッチを落として泣いている。これが最後だから、わたしの目からサファイアをとり、女の子に届けてくれないか」。燕は、「そんなことをしてはいけません!二つともなくなったら、王子さまは目が見えなくなります!」王子さまは優しく、「いいから私の言う通りにしておくれ」と言った。

燕は胸がいっぱいになって何も言えなくなった。燕はサファイアをくわえ、空を舞いあがり、女の子の手にそっと落とした。

燕は、王子さまのところへ戻ると言った、

「ぼくはもうどこにも行きません。王子さまの目の変わりになります」。

それから、町には忙しく飛び回る燕の姿があった。困っているひと、悲しんでいるひとを見つけると燕は王子さまにお話し、王子さまは、体の金を一枚一枚はがして燕に届けさせていた。

やがて、美しく輝いていた王子さまは灰色に変わってしまった。

ある雪の日。「王子さまのお手伝いができてぼくは幸せでした。ありがとう」、燕は息をひきとった。その瞬間、悲しみのあまり、王子さまの胸も張り裂けてしまった。

その頃、天国では神様が天使たちにこう命じていた。

「あの町で一番美しく、一番尊いものを見つけてここにもっておいで」。

天使たちは町に降りてくると、すぐに雪に埋もれている燕のなきがらと王子さまのぞうを見つけ、天国に連れていった。』

息子が3歳頃、この物語を読み終えると、いつも泣いていたのを覚えている。

「つばめさんは死んでしまったの?王子さまも死んでしまったの?」

しばらく手で涙をぬぐっていた。

私は、息子がということでなく、この純粋な「こども」に、本物の涙に、「なにかを感じる」心に、綺麗なものを見ている気がして、なんだかあたたかくなり、その度に息子を抱きしめていた。もしかすると私がその純粋な愛に抱きしめられていたのかもしれない。

読み終えると悲しみはあるけど、心に美しい花が咲いたような気持ちになる。

困っているひと、悲しんでいるひとを見るのが耐えられないこの王子さまは愛そのものだ。

自分にできることはないかを考える、できることをする、

より以前に、その人たちが困っていること、悲しんでいること自体を悲しむ、想像をし同じように感じること、そのものが「愛」だと感じた。慈愛に溢れている。

王子さまの思いが燕に伝わり、燕に愛が生まれ、王子さまの目の変わりに、困っている人に「気づくことができる」ようになっている。ここなのだと思う。「気づけるか」「想像できるか」「同じように感じられるか」。

慈愛、無償の愛という愛にふれ、届けられた人は嬉しさを感じ、いずれ配れる優しさが芽生えるのではないか、また、これまで、私にどれほどの存在が私にその愛を届けてくれたのだろうと思うと、胸がいっぱいになる。

全ての人には必ず愛があり、全ての人が愛を配られる存在で、全ての人が愛を分け与え届けられるはず・・そんな素晴らしい世界は、心ひとつ次第なのだと・・

愛をおもい、愛を願う、愛に出会い、

内なる愛を育てることができる、「人

mikke!

みつける・とらえる・つながる  誰も特別じゃない。誰もが特別な存在。 誰もが表現者であり、誰もが自由に自分を創造できる。 空の下 誰もが みな輝く主人公。 みなが主人公として「好き」をする自分に還り、心地よく、自分の意志で自由に楽しく生きられる優しさだけの世界に。 We are in the Circus World! ノベルセラピー、表現アートセラピー、 ソウルナビゲーション、イメージワーク