がまがえるくんとかえるくん ~軽快さと、シンプルさと、大きな丁寧さ~

『がまがえるくんとかえるくん』

~軽快さと、シンプルさと、大きな丁寧さ~

国語の教科書で印象に残っていた「お手紙」。

小学2年生の「それ」は今も同じ。息子の教科書に「お手紙」はあった。

作 アーノルド・ローベル/訳 三木 卓。

がまがえるくんとかえるくんシリーズはいくつかあるようで、

その一つを息子の卒園記念でいただいた。

とても読みやすい本。

こどもたちの『わかりやすい』がある本。

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その『わかりやすい』とは・・。

例えば「お手紙」。

がまくんは、げんかんの前にすわっていました。

かえるくんがやって来て、言いました。

「どうしんたんだい、がまがえるくん。きみ、かなしそうだね」

「うん、そうなだ。」

がまくんが言いました。

「今、一日のうちの かなしい時なんだ。つまり、お手紙をまつ時間なんだ。そうなると、いつもぼく、とてもふしあわせな気もちになるんだよ。」

「そりゃどういうわけ。」

かえるくんがたずねました。

「だって、ぼく、お手紙 もらったことないんだもの。」

がまくんが言いました。

「いちどもかい。」

かえるくんがたずねました。

「ああ。いちども。」

がまくんが言いました。

と最後までこの流れで、がまがえるくんとかえるくんのやりとりがある。

お手紙をもらったことがない、毎日ゆうびんうけは空っぽ、お手紙をまっているときがかなしい、というわけを話し、ふたりともかなしい気分でげんかんの前で話している。

このあと、かえるくんは急いで家に帰り、えんぴつと紙を見つけ、紙を入れた封筒にこう書いた、『がまがえるくんへ』。かえるくんは知り合いのかたつむりくんにがまがえるくんのゆうびんうけに入れてもらえないかお願いをする。かえるくんはがまがえるくんの家へ戻り、手紙が来るのを待つことにあきあきしているがまがえるくんに、誰かがお手紙をくれるかもしれないよと励ます。そんなことあるものかいと信じられないがまがえるくん。かえるくんは窓からのぞいたがかたつむりくんはやってこない。励ますかえるくんにがまがえるくんはばからしいこと言うなよ、と言い、かえるくんはずっと窓の外をみている。疑問に思うがまがえるくんにかえるくんは言う「だって、ぼくが、きみにお手紙を出したんだもの。」。「お手紙に、なんて書いたの。」の問いに、かえるくんはそのまま伝えた。

書いている内容を知ったまま、ふたりとも、とてもしあわせな気もちで、まった。長いこと待った。

4日たって、かたつむりくんが家についた。

かえるくんからのお手紙をがまくんにわたした。

がまがえるくんは、とてもよろこんだ。

『親愛なる がまがえるくん。ぼくは、きみが ぼくの親友であることを、嬉しく思っています。きみの親友、かえる。』

例えば「よていひょう」。

ある朝のこと、がまがえるくんは、ベッドの上におきあがっていた。

「ぼくには する ことが いっぱい あるんだ。」

がまくんはいいました。

「みんな 一まいの かみに かいてしまおうっと。そうすりゃおぼえられるもの。」

がまくんはかみにこうかきました。

『きょう すること』

それからこうかきました。

『あさ おきる』

「これはもうしちゃったと。」

といってがまくんはけしました。

それからがまくんは、かみにいろいろなことをかきました。

このあと、がまがえるくんはいろいろなことを書いた。

『あさごはんをたべる、ふくをきる、かえるくんのいえへいく、かえるくんとおさんぽする・・・おねんね』。

「する」をしたら「けす」。

がまがえるくんはポケットの中によていひょうを入れてかえるくんの家に行き、紙をポケットからだしてよていひょうをけす。かえるくんによていひょうのことを話し、「ぼくのよていひょうではね、ぼくたちがおさんぽするようになっているよ」「いいとも」かえるくんは言い、「いつでもいくよ。」も言っている。

ふたりはとおくまでおさんぽした。よていひょうをだしてけしたとき、強い風がふいた。

風は、がまくんの手からよていひょうをふきとばした。

かえるくんの「はしってつかまえようぜ。」に、がまくんが大きな声で言った「だめだ!」

「なぜ できないんだい?」かえるくんがたずねました。

「だって、」がまくんがなきごえでさけびました。

「よていひょうをおっかけるなんて、ぼく よていひょうに かかなかったことなんだもの。」

かえるくんがよていひょうをおっかけ、いくつものおかをこえ、ぬまちをこえ、走っても、よていひょうはどんどんとんでいってしまった。

かえるくんはつかまえることができなかった。

がまがえるくんは書いてあったことを思い出せない。

がまくんは すわっているだけでなにもしなかった。

かえるくんも がまくんといっしょにすわっていた。

だいぶたってから言ったかえるくんの「もう日がくれるよ。家へかえってねなくちゃいけないときだよ」に、

「ねるんだって!」がまがえるくんは「それはよていひょうのいちばんおしまいにかいてあったことだよ」。

がまくんはぼうでじめんにかいた。

『おねんね』

それからけした。

がまがえるくんは言った。「これでぼくの一日のしごとはぜんぶけしたよ。」

「ぼくうれしいよ」かえるくんが言った。

ふたりはぐっすりねむった。

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「ふたりごと」からなる本。

軽快なやりとりの、圧倒的なピュアさを魅力に感じる本。

例えば「クッキー」だとこんなお話。

がまくんがつくったクッキーをかえるくんと二人で食べて、食べることがやめられなくなったふたり。ぼくたちには『いしりょく』がいるねと話し、あのてこのてをふたりでする。クッキーを箱にいれては箱を開けたら食べられる、紐をしばっては紐をほどけばあけられる、はしごをつかって棚の上に置いてははしごをのぼれば箱を下ろせられる、最後にはとりくんたちをよび、あっちこっちからやってきたとりくんたちがひとつ残らずくちばしにくわえてとんでいき、がまくんは「いしりょくはぜんぶきみにあげるよ」と言ってうちへかえってお菓子をつくる。

がまがえるくんのできごと、

と、

かえるくんの寄り添い、が描かれたお話。

がまがえるくんの「純粋さと愛おしい滑稽さ不器用さ」と、かえるくんの共にある「優しさと美しさ」。

「日常」のお話。

主語と述語の繰り返しが、明快さと描写にたまらない愛おしさを生でんいる。

「お手紙」の、4日たってかたつむりくんが がまがえるくんに手紙を渡す場面。

『かたつむりくんはかえるくんからのお手紙をがまくんにてわたした。』

がまがえるくんからの手紙をもらった、や、受け取った、の前の、

かたつむりくんの述語の描写という丁寧さから生まれる優しさ。

「よていひょう」の、よていひょうが風で飛ばされた場面。

『風は、がまくんの手からよていひょうをふきとばした。』

「風にふきとばされたよていひょう」の表現ではなく、

「風」が主語にあるところにわたしはとても惹かれる。

瞬間的な、内なる声を「する」やりとりの連続。

読んでいて、素直な気持ちにさせてくれる、素直さの大切さに気づかせてくれる。

素直に従うこと。

純粋に、単純に、シンプルであること。

「日常的」なこと。

「瞬間的に」であること。

「シンプル」のなかにある、とても丁寧な描写から働きかけられる「やさしい」「かわいい」素晴らしさ。

私は、

大ファンになった。

mikke!

みつける・とらえる・つながる  誰も特別じゃない。誰もが特別な存在。 誰もが表現者であり、誰もが自由に自分を創造できる。 空の下 誰もが みな輝く主人公。 みなが主人公として「好き」をする自分に還り、心地よく、自分の意志で自由に楽しく生きられる優しさだけの世界に。 We are in the Circus World! ノベルセラピー、表現アートセラピー、 ソウルナビゲーション、イメージワーク