「ごほうびのような」-日常に煌めきを-『きょうは そらに まるいつき』
「ごほうびのような」-日常に煌めきを-
『きょうは そらに まるいつき』
著者:荒井 良二 / 株式会社 偕成社
個人的に魅力的に感じる「絵本」というのは、
文章がなくても、
「絵」だけでストーリーに心がわくわくする、
読み手が置いてけぼりにならない、
何を伝えようとしているのかを読み手が感じ取りやすい、
読み手に想像をゆだね、
受け取り方そのものを自由に与えている絵本だ。
言葉が少なく、
描写が綺麗で、可愛くて、惹きこまれるほど美しくて、
そして、丁寧なこの絵本は、
「だいじょうぶだよ」
「みんな繋がっているよ、いつも繋がっているよ」
「きみだけじゃないよ」
「いつもみているよ」
を伝えてくれる優しさと、
そして、
「ときどき、
月のようにたかーーいところから、
みてごらん」
そんなエールも送ってくれている気がした。
満月の日に、偶然出会った絵本。
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ゆらゆらゴトゴト、乳母車から空を見上げる、この星に生まれたばかりのあかちゃん、
バレエの練習終わりにバスから空を見上げる女の子、
遠い、遠い、山の中で遊んだ帰り道のくまたち、
買ったばかりの新しい運動靴を抱えて、バスから空を見上げる男の子、
ミシンの仕事を終えて、カーテンをしめるところで空を見上げる洋服屋さん、
集まるたくさんの猫、
海で大きくはねるクジラ、
ギター弾きの演奏家、
大切に大切にわが子を抱く母親、
食器を洗うおじいさん、コップを片付けるおばあさん、キャンプやダンスを楽しむ人々、
それぞれが、煌めきをもち、自分に純粋に生きているひとたち、
見上げればみな同じ空。
空には、まるい月。
あかちゃんが空を見て、
月の優しい光を受けて、
笑っている。
そしてこう書かれている。
「それぞれのよるに ごほうびのような おつきさま」
「ごほうびのような」
私は、
嬉しくて、
嬉しくてたまらなかった。
こんな言葉を伝えてくれるこの絵本に、
感動した。
純粋に、
とても 感動した。
いつも、
みんな、
そらのした。
「ごほうびのような」を、
歓びをもって感じたい。
たくさんのひとが、
「ごうびのような」に出会い、気づき、
「ごほうびのような」をうけとる、
「煌めき」をもって、日常を、生きていますように。
LOVE
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