躊躇ない想像・自分が観る世界が世界~ 『ミリーのすてきなぼうし』
想像を躊躇なく楽しむこと
~自分が観る世界が『世界』~
『ミリーのすてきなぼうし』
作・絵:きたむら さとし
出版社:BL出版
息子の小学2年次の国語の教科書にでてきた物語。
読み進めるにつれ心が弾んでくるような、
まるで光が見えてくるような感覚を味わう物語。
読み聞かせにもお勧めの本だ。
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「ミリーのすてきなぼうし」
主人公はミリーという小さな女の子。
ミリーは散歩の途中、帽子屋さんに出会う。
色とりどりのはねのついた帽子が気に入ったミリー。
試してみるとぴったりで、「これください」と店長さんに言った。
「99999円でございます」と店長さん。
ミリーのお財布の中は、ちょっと足りない。
「どのくらいのお値段のものがよろしいでしょう」と店長さん。
ミリーは「このくらい」とお財布を見せた。
中は空っぽ。
「あ、あります!」
店長さんは突然大きな声で言い、お店の裏から箱を手にして戻ってきた。
「これは、特別な帽子です」
『大きさも形も色も、自由自在。お客様の想像次第でどんな帽子にもなる素晴らしい帽子です』
店長さんは慎重に帽子を箱から取り出しミリーの頭にのせた。
「じゃあこれにしますわ」
ミリーはお財布の中身を全部手に取り、店長さんにわたした。
帽子をかぶったまま店を出たミリー。
新しい帽子が気にったミリー。
「でも、何か想像しなくちゃ。」
「じゃないと帽子の形が見えないもの。」
「お店にあったいろんな色の羽の帽子。あんな帽子。もっともっとたくさん羽がついてるの。」
そう、クジャクの帽子。
ケーキ屋さんの前を通ったらケーキの帽子。
花屋さんを通り過ぎたときは花でいっぱいの帽子。
公園では噴水の・・
そしてミリーは気づいた。
帽子をかぶっているのは自分だけじゃないんだと。
みんな帽子をもっていたのだ。
向こうからおばあさんがやってきた。
おばあさんの帽子は暗くて寂しい水たまりだった。
ミリーがおばあさんに微笑みかけると・・
ミリーの帽子の中から鳥や魚が飛び出しておばあさんの帽子に飛びうつった。
そのあと、
ミリーが歌うと帽子は・・
家に帰ってママに「わたしの新しい帽子見て」というとママは・・
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物語は、
最後にこう締めくくっている。
「だれだってもっているのです。自分だけの素敵な帽子を。」
なんて素敵な物語なのだろう。
「ないもの」を「ある」ように想像する。
それも、あたかも「見えている」ように。
自由自在に。
ミリーのように自由な発想でこんな風に想像を楽しめると、
どれだけ人生が豊かになるだろうか。
どれほど自分の周りに存在するものすべてに「心を配る」ことができるだろうか。
そして、
想像することに寄り添い、
「自由にイメージすること」や「あるがまま楽しむこと」を
「自分に許す」瞬間を与えてくれた店長さんのような人が、
誰の身の回りにもいればどんな世界になるのだろうと、
目を閉じ、
想像した。
ミリーは、おばあさんの帽子を暗くて寂しい水たまりと「観た」。
『微笑みかけるミリーのような優しい心(帽子)をもった「存在」で溢れたら・・。
慈しみの愛を分け注がれた心(帽子)は、
まるで、頑なにカーテンを閉め切って閉ざす窓の向こうから、美しい鳥の囀りが聞こえ窓をあけてみたくなるような、
そんな希望をもった光の心(帽子)に変わり、
その光に変わった帽子を被った「存在」もまた、
別の「存在」の心(帽子)を光に変えて・・
優しい光に包まれる世界が溢れたら・・・。』
想像するだけで心穏やかで優しい気持ちになる。
自由に想像を楽しむことは素晴らしい。
ただそれ以上に、二つのことを思う。
一つは、
『想像することに「楽しむことを躊躇なく自分に許す」ということ』。
もう一つは、
『「自分が観る世界」が「世界」だということ』。
これは最近つくづく感じている。
同じ状況下にいても、
ひとが「観る世界」によって、捉えている状況や意味が全く違うのだ。
さらに、
その捉え方が違うだけで、
「行動」も変わり、
生まれる「出来事」も、
集まる「人」も、
出会う「未来」も変わってくるのだ。
あなたはこの物語はどう「観ますか」
あなたは今の状況をどう「観ますか」
あなたはこの世界をどう「観ますか」
あなたの「観る」で、
あなたが出会う「未来」が変わるかもしれない。
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